マロングラッセ Mk.II

赤西真論のブログらしきもの

Box64Droidの現状(20230611版)

最近Box64Droidで遊んでおりますが、なかなか更新が早いリポジトリで進化を続けております。

前の記事で書いた情報も3週間ぐらい前のことなのですが、すでに変わっているので現状を記載しておきます。

また、新たに分かったことについても記載します。

新しいインストール方法と起動スクリプトについて

インストールに使うスクリプトと起動用のスクリプトが変更になっています。

以前はproot版、chroot版、virgl版で利用するスクリプトが分かれていたのですが、1つにまとめられ、インストール時に選択するスタイルとなりました。

基本的には1のNon-rootを選択すればよいのですが、Root化済み端末の場合は2のRootを選んだほうが良いです。また、AdrenoではないGPUの場合は3のVirGL版を選ぶ必要があります。これについては後述。

termux-x11のバージョンも変わっているので、以前の記事を読んで導入された方は一度box64droidの環境を構築しなおすことをお勧めします。バージョンが違うと正しく表示されませんでした。

起動時のコマンドも変更されており、box64droid --startになっています。若干入力しにくくなった感はあります。また、起動後のメニューも変わっています。

今まで解像度を手動で入力する必要があったのですが、いくつかプリセットが用意されるようになりました。ただ、どれも16:9なので、結局は5を選んでカスタムで入力したほうが良いです。

また、今までbox64droidのUbuntu環境に入るにはctrl+cを入力する必要がありましたが、8を選べば簡単に入れるようになりました。ただ、入った直後にEnterを入力しないときちんとコンソールが表示されません。

proot版とchroot版について

box64droidには、proot版とchroot版が存在します。proot版はRoot権限が不要なのですが、Android 12以降でしか動作しません。chroot版はRoot権限が必要ですが、Android 10以降で動作します。

で、実はchroot版のほうが端末性能を引き出せるようです。実際にRoot化済みのV60 ThinQと非RootのGalaxy S20 FEで比べたのですが、ちはやローリングで差が出ています。

V60 ThinQ
Galaxy S20 FE

どちらもSnapdragon 865なので性能に大きな差は無いはずなのですが、これだけの差が出るとなるとおそらくchroot版のほうが性能がよいです。解像度については1600x720で合わせています。

ですので、Root化済み端末の場合はAndroid 12以降であったとしてもchroot版をおすすめします。

ちなみにAdreno系のGPUではない場合、VirGL版を使う必要がありますが、これはGPUを使わずにCPUだけで描画するのでゲームはプレイできないレベルで遅いです。使わないほうが良いです。

Snapdragon 8 Gen 2で動かない問題

以前、Snapdragon 8 Gen 2を利用したRedmagic 8 Proで動作しないという話をしました。これはGPUドライバーの問題だったのですが、つい最近(というか昨日)対応されました!

ドライバーは別途入れる必要があり、Box64DroidのReadmeに書いてあります。If you have have Adreno 730 or 740, you can use this Turnipと書いてあるのがそれです。

入れ方は

  1. 事前にBox64Droidのインストールを行っておく
  2. Turnipのリンクをコピーする
  3. Box64Droidを開始し、8でUbuntu環境に入る
  4. wget {コピーしたリンク}でファイルをダウンロード
  5. tar -xvfで解凍
  6. 解凍後のディレクトリにあるinstall.shを実行

です。ただ、このドライバーはまだ初期段階ですので、GPUの性能を引き出し切れていません。865に比べてもちょっとしか性能が上がっていません(proot版を利用しています)。

Redmagic 8 Pro

それでも、この状態でもゲームを出来るぐらいにはなっているので、かなり前進していると言えます。

termux-x11の設定

以前の記事で文字サイズが小さくて読みにくいと書きましたが、解像度の変更方法が分かりました。

PreferencesのDisplay Resolution modeをcustomにすると解像度を指定できる項目が出現します。その部分に短辺が720pxになるような解像度を入力すると良いです。最近の端末は20:9が多いと思いますので、1600x720辺りが良いかと思います。ここで指定した解像度はBox64Droid起動時の解像度指定でも同じ解像度を指定してください。

その他の設定項目についてもおすすめを記載しておきます。

  • Reseed Screen ...:オフ
  • PIP Mode:オン(特にWMP9をインストールする場合)
  • Fullscreen on device display:オン
  • Force landscapeorientation:オン
  • Hide display cutout:ノッチやパンチホール領域まで表示するならオン
  • Touchscreen input mode:FVPを動かす場合はTouchscreenを選択
  • Show additional keyboard:オフ
  • Capture external mouse ...:オン

PIP Modeについては、winetricksでWMP9をインストールする際にインストーラーがどのタイミングで表示されるのかが分からないのでオンにすることをおすすめします。ただし、WMP9をインストールすると動画再生はされますが、音がバグっています。これはgstreamerとの相性も考えられるのでもう少し調査が必要です。

Touchscreen input modeについては、通常はTrackpadのままで良いのですが、FVP(Favoriteのゲームで使われていたエンジン)を動かす際に何故か長押しでしかクリック判定がされません。これを回避するにはTouchscreenに切り替えると良いです。ただ、このモードにすると右クリックやスクロールが出来なくなります。また、エクスプローラの操作が格段に難しくなり、エクスプローラ操作時にフリーズする場合があります。


こんなもんでしょうか。Box64Droidで各種エンジンを動かした際の挙動がまだ調査しきれていません。調査したいのですが、まずエンジンをかき集めるところから始めないといけないのです。まだ動かしていないエンジンで下記のものは最低限調べたいとは思っています。

  • Artemis Engine
  • YU-RIS
  • CMVS
  • CatSystem2
  • Imosurume
  • SOFTPAL ADV SYSTEM
  • AdvHD
  • EntisGLS
  • ExHIBIT
  • 椎名里緒
  • Malie
  • Horkeye Script Engine

他にもありそうなので、動かして欲しいゲームがあればコメントへどうぞ。持っているか体験版があれば動かします(もちろん美少女ゲーム限定です)。